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 2013年4月 〜 2015年4月     Vol.4

子犬のうちに大切な人と  2013.12.28


 
年末年始はクリスマスやお正月など楽しいイベントが盛りだくさん。
普段会わない親戚や友人に出会う機会も多いだろう。犬にとっても飼い主との外出や
新しい出会いはとても楽しい時間となる一方で、苦痛な時間になることもある。
 
その違いは犬の気質と子犬の時期の社会化にとる。子犬の時期に多くの人と会い、楽しい体験をさせ、人と仲良くできるように教育された犬は社会性があり、初めての場所や知らない人との出会いを楽しむことができる。一方そのような教育を受けなかった犬にとってはクリスマスパーティーや新年会は苦痛でしかない。外出の機会が少なく、知らない人との触れ合いなく育った医務は、飼い主や子犬の頃から知っている人は受け入れるが成犬になって初めて会う人を受け入れにくい。例えば春に飼い始めた子犬を社会化の教育をせずに、お正月に初めて実家に連れて帰ったとしよう。犬にとって初めて訪れる家で、見ず知らずの子供が大声を出して近づいて来たり、酔っぱらいに触られたりしたら怖くてたまらないだろう。飼い主の両親や親戚であっても、犬にとっては赤の他人だ。警戒するのは当然で、場合によっては怖さのあまり攻撃することもある。これはごく自然な行動で犬に罪はない。犬には社会化期といわれる生後3カ月ごろまでに多くの義ととの楽しい触れ合いを経験させておく必要がある。特に飼い主にとって大切な友人や家族には子犬の時期に紹介しておくべきだ。少なくとも1歳ごろまでは社会化教育を続け、生涯人間社会で幸せに暮らせるようにしてあげてほしい。

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口の中のチェック、忘れずに  2013.12.14
 
人と同様、ペットも健康で長生きするためにはデンタルケアがとても大切だ。犬や猫には虫歯はあまり見られないが、歯周病は非常に多い。3歳以上の犬猫の80%以上が歯周病にかかっているという報告もある。つまり犬や猫も歯磨きをしなければほとんど歯周病になると思ってもよい。歯周病は、口の中の不快感や口臭の原因になるだけでない。血流を介して口腔内の細菌が腎臓、肝臓、心臓など全身の臓器に運ばれて、さまざまな病気を引き起こす。歯周病予防には毎日の丁寧な歯磨きで歯垢を取り除く必要がある。奥歯や歯の裏側など磨きにくい部分があるので、歯垢を減らす硬貨のあるフードやデンタルガムなどを併用するのもお勧めだ。歯垢は放置すれば、歯石になり、歯ブラシでは簡単に取り除くことはできないので、動物病院での処置が必要になる。健康診断やワクチン接種の際に定期的にチェックしてもらうと良い。飼い主も日頃から愛犬や愛猫の口の中をチェックする週間をつけてほしい。口の中を見たり、歯磨きをしたりするには、まず口を触れられることに慣しておくことが必要だ。無理やり押さえつけて口を開けたり、歯磨きをしようとすると口を触っただけで怒るようになる。まずは好物を与えながら、やさしく口の周りを触る練習を。それに慣れたら、次は歯ブラシを一瞬当てて好物を与える。嫌がらない事を確認しながら少しずつ時間を延ばしている。歯磨きに良いイメージを持つように根気よく慣してほしい。
 

「偉い」は犬に通じない  2013.11.30


 
犬とヒトが一緒に暮らすようになり、少なくとも1万数千年がたつが、いまだにヒトは犬を十分に理解しているとはいえない。なかでも犬がもっとも被害に遭ってきた誤解が「優位性理論」であろう。オオカミの群れを見立て、犬が飼い主の指示に従わなかったり、攻撃的に振る舞うのは犬と飼い主の上下関係が逆転しているからだと信じられてきた。ところが現在では異種動物ゆえ、この優位性理論をそのまま当てはめるのには無理があることが分かってきた。
飼い主から「犬が言うことを聞かないのは自分の方が偉いと思っているからでしょうか」という質問を受けることは多い。おそらく犬には偉いとかえらくないというような概念すらないだろう。例えば爪切りを嫌がってかむのは、自分の方が偉いから怒っているわけではなく、爪切りという不快な刺激を回避しようとしているにすぎない。特に出血など嫌な経験をすれば回避は正常な反応で、問題行動ではない。例えば誰かがあなたを押さえつけ爪を切って出血したら、その人に感謝するだろうか。残念ながら飼い主が偉いということを見せつけるために体罰を与えたり、無理やりひっくり返したりする例が後を絶たない。このような行為は恐怖心を与え、飼い主との関係を悪くしてしまう。すべきことは好物を使って足先を触ることに慣らしたり、穏やかに爪切りに慣していくことだ。言葉の通じない相手だからこそ、無理強いは禁物。時間をかけて良い関係を築いてほしい。
 

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動物好きなら  2013.11.9


 
動物愛護週間(9月20~26日)が終わった。環境省の調査によると2011年度に全国の行政機関で殺処分された犬は4万3606匹、猫は13万1136匹。関係者の努力で年々減少傾向にあうが、1年に17万4742もの尊い命が失われている。改善のためには飼い主の意識の向上が不可欠だが、私たちみんなにできることはある。以下のような内容を周囲の人に伝えることも立派な動物福祉だ。犬や猫は人間社会で生活する。幸せにするのは人間次第。子犬や子猫のうちに人間社会に協調できるように教育を受けていなければ、飼い主が望まぬ行動をとることもある。問題行動は、飼育放棄の原因ともなる。飼い主とペットが幸せに暮らし、周囲の人に迷惑をかけない飼い方をするために次の三つを守ってほしい。
 ①自分に合ったペットを選ぶ。
②ペットのニーズを満たす。
③ペットの習性に応じて人間と暮らしていく上で必要なしつけ(=教育)をする。
 まず大切なのが住環境や家族構成、ライフスタイルや体力を考慮して、飼う目的に合ったペットを選ぶこと。次にペットの習性や気質をよく知り、彼らに必要な生活環境を与
と。最後のしつけは自己流ではなく、学習理論や行動学に基づいた知識のある人から指導してもらうことをお勧めする。飼い主とペットが良い関係を築き、飼い主もペットも周囲の人たちみんなが幸せに暮らせるようになれば殺処分は減るはずである。
 

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