パピークラスのやりがい ~震災を乗り越えて~
かわい動物病院(宮城県) 藤原 美雪
私の勤める病院は仙台市のはずれにあります。一般的には飼い主さんのパピー
クラスへの認識は高まってきているようですが、私の住む地域では7割の方が
パピークラスというものを知らなかったとお答えになり、まだまだ認知度は
低いと考えられます。地域がら、積極的に取り組むというよりは、「自分たち
には無理だ」と受け止められる傾向が強いと感じています。しかし、一度始め
ると辛抱強く熱心に行ってくださり、「犬との生活をより充実させたい」と
変わってくれる方も多くいます。このやりがいはぜひ、皆さんにも味わってい
ただきたいです。
また、この地域は海に近く、東日本大震災の際は、あと少しのところまで津波
が迫っておりましたが、幸いにも難を逃れました。多くの動物たちの命が失わ
れ、悲しいお別れもありました。悔しい思いもしました。どの方もみなさん、
そうだったと思います。食料もなく、燃料もない。「この状況ではパピークラ
スはできない・・」と思っていましたが、まだガスも通っていなかった震災1
か月後に再開しました。それは私を振いたたせてくれたことがあったからです。
震災後来院された卒業生の皆さんが、第一声に必ず「ありがとう」といってく
ださいました。避難されていた方は学校、公民館、集会所など皆さん様々でし
たが、どこでも歓迎され、うまくやることができたとおっしゃっていただきま
した。地震の多い地域ですので、クラスでもクレートトレーニングやリードと
首輪についてなどの説明の際には必ず「万が一の時、必ず皆さんを助けてくれ
ることですよ」と話しておりました。もとより皆さんの意識も高かったおかげ
もあり、クレート内で静かに過ごせたようです。「聞いていたからできました。
教えてくれてありがとう」と言われ、本当にうれしかったです。
パピークラスで皆さんのお役に立てた!今の私でもできることがある!と思い、
パピークラスの重要性を再認識した私は、早くの再開を決意しました。参加者
の方は来てくださるのか?という不安もありましたが、「この状況でも犬は成
長していきます。早くに再開してくれてうれしいです」と言っていただき、ま
たまたうれしい思いでした。再開予定日に再び大きな余震で停電し、中止しな
ければならなくなったりと、すんなりとはいきませんでしたがまた始めること
ができました。
そんななか、一緒にがんばってきた飼い主さんとの絆は本当に深いもので、万
全の態勢でなくても再開してよかったと心から思っています。どんな状況でも
できることは必ずあると思いました。全国にも大変な状況の方が多くいらっし
ゃると思いますが、皆さん、お互いにくじけずにがんばっていきましょう!!