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 2013年4月 〜 2015年4月     Vol.3

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蚊いなくなっても  2013.10.26
 
涼しくなるとつい忘れがちになるのが愛犬のフィラリア予防だ。フィラリア症は蚊によって媒介される病気で、心臓にそうめんのゆな細長い虫がすみ着くことで起こる。悪化すると呼吸困難や激しい全身症状を伴う致死率の高い病気だ。最近は都市部をはじめとする予防率の高い地域では感染率が下がってきているが、全国的にみるとまだまだ多い。愛犬が旅行先で感染したり、感染犬が近くに引っ越してくることも考えられるため、たとえ感染率の低い地域であっても予防しなくても大丈夫だと思わないでほしい。予防法はいろいろあるが、一般的には毎年春に血液検査で感染の有無を確認した上で、春から初冬にかけて内服薬を飲ませる。重要なことは、この薬は投与日までに感染したフィラリアの子虫を退治するもので、投与した火より後に感染したフィラリアの子虫には高価はないということだ。最後に投薬した
日以後にフィラリアの子虫を持つ蚊に刺された場合には次の月も投薬が必要だ。涼しくなるとこの予防薬を中止する飼い主さんが多い。最後の月の投薬をやめたために、フィラリアに感染してしまうこともある。獣医学が進歩しても予防できない病気がたくさんある中、予防できる病気で愛犬が命を落とすことがないように必要な期間はきつんと予防してあげてほしい。投薬を忘れがちな人のためには最近では1回の注射で予防する方法もある。フィラリア症の予防薬の種類や期間などは、動物病院や地域によっても異なるので、詳しくはかかりつけの動物病院で尋ねてみてほしい。


幸せにする5原則  2013.10.12
 
飼い主とペットが良い関係を築き幸せに暮らすためには、しつけ以前にすべきことが二つある。まず自分に合ったペットを選ぶこと。次にペットの習性や気質をよく知り、彼らのニーズを満たすことだ。このニーズ関して有名な「動物福祉の5原則」をご存じだろうか?1960年代に英国で家畜福祉向上のために定められた五つの自由で、今や動物福祉の国際的な基準として広く浸透している。ペットはもちろん産業動物も含め、人間が飼うすべての動物で配慮すべき以下の5項目が挙げられている。
➀不適切な栄養管理からの自由
➁不快な環境からの自由
➂肉体的苦痛からの自由
➃精神的苦痛からの自由
➄その動物種らしく行動する自由
特に現在のペットにとって忘れられがちなのが➃と➄だ。人間社会で暮らすペットには、思わぬところで精神的苦痛を感じたり、その動物種らしい行動が制限されることがある。精神的苦痛を減らすためには、子犬、子猫の間に人間社会に適応するための社会化を含めた教育(他の人や動物と仲良く触れ合うことができるようにする、いろいろなものや場所に慣らしておくーなど)が必要だ。また動物種らしい行動に関しては、犬猫は元々補食動物なので本能を満たすような運動や遊びが必要だ。犬であれば毎日の散歩は必須だし、猫は外が見えたり、上下運動ができるスペースを作り、毎日おもちゃを使って遊ぶ必要がある。ペットは飼い主を幸せにしてくれる。彼らも幸せに暮らせるようそれぞれの動物の習性に合わせて生活環境を整えてやることが必要だ。
 

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伝えることで動物愛護  2013.9.28
 
動物愛護週間(9月20~26日)が終わった。環境省の調査によると2011年度に全国の行政機関で殺処分された犬は4万3606匹、猫は13万1136匹。関係者の努力で年々減少傾向にあうが、1年に17万4742もの尊い命が失われている。改善のためには飼い主の意識の向上が不可欠だが、私たちみんなにできることはある。以下のような内容を周囲の人に伝えることも立派な動物福祉だ。犬や猫は人間社会で生活する。幸せにするのは人間次第。子犬や子猫のうちに人間社会に協調できるように教育を受けていなければ、飼い主が望まぬ行動をとることもある。問題行動は、飼育放棄の原因ともなる。飼い主とペットが幸せに暮らし、周囲の人に迷惑をかけない飼い方をするために次の三つを守ってほしい。
 ①自分に合ったペットを選ぶ。
②ペットのニーズを満たす。
③ペットの習性に応じて人間と暮らしていく上で必要なしつけ(=教育)をする。
 まず大切なのが住環境や家族構成、ライフスタイルや体力を考慮して、飼う目的に合ったペットを選ぶこと。次にペットの習性や気質をよく知り、彼らに必要な生活環境を与えること。最後のしつけは自己流ではなく、学習理論や行動学に基づいた知識のある人から指導してもらうことをお勧めする。飼い主とペットが良い関係を築き、飼い主もペットも周囲の人たちみんなが幸せに暮らせるようになれば殺処分は減るはずである。
 


離れても守るために  2013.9.14
 
もうすぐ動物愛護週間(20~26日)。行政機関に持ち込まれ、処分される犬や猫のなかには迷子になったペットもいる。言葉がしゃべれないので外出先などで一度飼い主から離れてしまうと二度と会えないケースは少なくない。愛犬愛猫にはぜひマイクロチップを入れてほしい。マイクロチップは背中側の首の皮下に注射器のようなもので埋め込む、安全な個体識別の手段だ。直径2ミリ、長さ8~12ミリで、データーベースに登録されている個体情報を示す15桁の数値を専用のリーダーで読み取る。迷子や地震などの災害、盗難などで、飼い主と離れても、リーダーで読み取り、データーベースの情報と照合することで、戻ってくる可能性が高くなる。東日本大震災では多くのペッとが行方不明となり、震災後装着を希望する人が増えた。専用のリーダーは全国の動物保護センターや保健所、動物病院などに配備されている。迷子札は外れてしまうことがあるが、マイクロチップは一度埋め込めば外れる心配がなく、これで身元がわかり、処分を免れた犬もいる。ただし外観からはわからないので
迷子札も併用した方がよい。犬は狂犬病予防注射を受け、登録すると観察と注射済票が交付され、飼い主犬に着けておく義務がある。鑑札には登録番号が記載され、飼い主を探すことが可能だ。ただし取れてしまうことがあるので、やはりマイクロチップの併用がお勧めだ。マイクロチップはかかりつけの動物病院に相談してほしい。
 

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ケージを快適な居場所に  2013.8.31
 
この夏もたくさんの犬が当院にのペットホテルにやってきた。ケージに入ってリラックスできる犬もいれば、ほえ続ける犬もいる。こんなことにも教育が必要だ。犬が狭く囲まれた場所で静かにリラックスしていられるようにする練習をクレートトレーニングと言う。このトレーニングはペットホテルだけでなく、車移動の安全確保にも役立つ。自宅で慣れたクレート(ケージやキャリーなど)ごとペットホテルに預けると、犬は普段と違う環境でも比較的リラックスして過ごすことができる。トレーニングで大切なことはまずクレートを犬にとって快適なスペースにすることだ。中に季節に合った敷物などを入れ居心地の良い状態にする。慣れるまでは無理やり閉じ込めるのえはなく、中に好物を置いたり、隙間から次々と好物を入れたりして最初にクレートに良いイメージを持たせることが大切だ。犬が喜んで入るようになって初めてドアを閉める。例えばリビングでテレビを見ているような時に自分が座っているソファーの側にクレートを置き、テレビを見ながら時々好物を入れるようにすれば、犬は自らクレートの中で待つようになる。最初はクレートは必ず家族がいる部屋に置き、「クレート=ひとりぼっち」の印象を与えないようにする。十分慣れればクレートを移動し、どこにあっても安心できて快適な場所だと教える。クレートに入れるタイミングは食事、排せつ、運動などを済ませてリラックスできる状態、つまり一眠りできそうなアイミングで。ガムや食べるのに時間がかかるおやつなどを一緒に入れると良い。 

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