『パピーケアスタッフとなった妻のおかげで
   私の石頭が少々柔らかく若返った』
ハート動物病院 (神奈川県) 伊藤 卓巳


はじめに
今回はJAHA認定パピーケアスタッフの伊藤洋子さんが勤めている、
神奈川県 ハート動物病院院長 伊藤卓巳先生よりご感想をいただきました。

この度、本誌掲載文章の依頼をうけまして、正直、少々困惑しております。
しかし、パピーケアスタッフがいる病院の院長として、病院に起きた変化
などについて自由な感想を述べてほしいとの趣旨でしたので、ざっくばら
んに書かせていただきます。
 
数年前に妻からパピーセミナーへの誘いがありました。何でも、院長に来て
ほしいというのです。はじめは、何で僕?という疑問がありましたが、妻か
らの久々のデートの申し込みだと思って参加しました。私にとってパピーケ
アは正直言って縁遠かったことは事実です。
さて、会場に到着してみると参加者の年齢層は若くフレッシュな空気の中、
いよいよ村田香織先生の講義が始まりました。内容はこれまで気にしてこな
かった分野でしたが、なぜ院長が参加しなければならなかったのかを理解す
るのにさほど時間を要しなかった事を覚えています。それは、院長の理解が
不可欠であるという事です。帰り道、私たちは新鮮なパピーの話題で盛り上
がりました。
 
私たちには3人の子供がいます。子育てに一段落した頃というタイミングと、
妻が当院でのやりがいを持ちたいという動機が重なったところにパピーとの
出会いがありました。はじめはパピークラスの院内導入というよりも妻の気
持ちを尊重し、応援したいと思っただけでした。
 
それからというもの、妻は、この分野を一生懸命に勉強する様になりました。
彼女は苦労しながら勉強を続けてきました。しかし、これらを通じて得た友
人や仲間のおかげで最後まで頑張れたと思います。言い換えれば仲間がいな
ければ続かなかったことでしょう。その苦労の甲斐あってか、今では幼稚園
教諭の実務経験があったことも幸いして、飼い主様相手のパピークラスは、
とても好評です。
 
獣医師はとかく手術や診療技術の追求にエネルギーを注ぎがちです。実は、
お恥ずかしながら私もそうでした。しかし、パピーケアスタッフとなった
妻のおかげで私の石頭が少々柔らかく若返った様な気がします。スタッフ
の意識が向上し、人と動物の信頼関係が向上し、
飼い主様からはいっそうプロとして尊敬され、スタッフもやりがいが増す、
という好循環になり、院内の雰囲気が変わりました。パピークラス卒業生
である飼い主様の会話の中から「内視鏡手術による避妊手術はキズが小さ
くていいわよ」等の口コミで手術件数も増えました。うまく言えませんが、
病院運営を料理に例えると味にコクが出た、音楽に例えるとサラウンドが
効いた、と言えるかもしれません。私は「スタッフ第1主義、顧客第2主
義」と考えていますが、その理由はやりがいを感じて仕事をする事こそが
顧客満足の向上へつながると考えているからです。当院は小さいながらも
総合病院ですので、スタッフがパピー以外にも様々な分野でより一層やり
がいを持つようになりました。外部からの見学や研修、さらには就活者数
も増えました。
 
獣医師主導だった日常の診療は、パピーケアスタッフから獣医師が学ぶ機
会も増えましたし、パピークラスの開催により院内イベントも増えました。
何よりも獣医師目線でなく、
もっと広い視点から動物病院運営が見れるようになった事が大きな変化だ
と思います。
このような機会を与えてくださいました関係者の方々へ心から感謝を申し
上げるとともに、将来導入をお考えの動物病院スタッフの皆様、是非とも
院長先生を巻き込んで進めてください。
きっと良い事がたくさんありますよ。